【NAS自作】第1回:iPhoneの写真・動画を自宅NASで管理する
2026-03-084分で読める
iPhoneの写真・動画が増え続ける問題を、自作NASで解決しました。TrueNAS + ZFS + Immichで構築する自宅NASシリーズの第1回です。
2026-03-1510分で読める
前回(導入編)ではNAS自作シリーズの全体像をお伝えしました。今回は実際に購入した各パーツの選定理由と費用について詳しく解説していきます。この記事を読めば、NAS自作に必要なパーツと選び方のポイントがわかります。
使用するソフトウェアから逆算して、ハードウェアに求められる要件を整理しました。
これらを踏まえて、今回はコスパ重視でパーツを選定しました。極端に省電力なCPUだとImmichの処理が遅くなるため、ある程度のCPU性能は確保しつつ、全体の費用を抑える方向で進めています。
AMD Ryzen 3 3200Gを選びました。

| スペック | 値 |
|---|---|
| コア / スレッド | 4コア / 4スレッド |
| ベースクロック | 3.6GHz |
| ブーストクロック | 4.0GHz |
| TDP | 65W |
| 内蔵GPU | Radeon Vega 8 |
| ソケット | AM4 |
NAS用CPUを選ぶ際のポイントは以下の3つです。
| CPU | コア / スレッド | TDP | 内蔵GPU | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| AMD Ryzen 3 3200G | 4C / 4T | 65W | ◯ | ¥13,000前後 |
| Intel N100 | 4C / 4T | 6W | ◯ | ¥15,000前後(マザボ一体型) |
| AMD Ryzen 5 5600G | 6C / 12T | 65W | ◯ | ¥20,000前後 |
Intel N100はTDP 6Wと超省電力ですが、マザーボード一体型が多くSATAポート数が少ない傾向があります。またCPU性能が控えめなのでImmichの処理速度が気になるところです。Ryzen 5 5600Gは性能十分ですが、NAS用途にはややオーバースペックで予算も上がります。バランスの良いRyzen 3 3200Gを選びました。
購入価格:¥13,180(Amazon)
GIGABYTE B550M Kを選びました。

| スペック | 値 |
|---|---|
| フォームファクタ | Micro-ATX |
| チップセット | AMD B550 |
| ソケット | AM4 |
| SATAポート | 4ポート |
| M.2スロット | 1スロット(PCIe 3.0 x4) |
| LAN | Realtek GbE |
| メモリスロット | 2スロット(DDR4、最大64GB) |
マザーボード選定のポイントは以下です。
マザーボードにはサイズの規格があり、ケース選びに直結するので先に知っておくべき知識です。
| フォームファクタ | サイズ | 特徴 |
|---|---|---|
| ATX | 305 × 244mm | 最も一般的。拡張スロットが多く拡張性が高い |
| Micro-ATX | 244 × 244mm | ATXよりコンパクト。NASや省スペースPCに人気 |
| Mini-ITX | 170 × 170mm | 最小サイズ。拡張性は限定的だが超小型PCに最適 |
ケースは対応するフォームファクタが決まっているため、マザーボードとケースの組み合わせを必ず確認しましょう。今回はMicro-ATXのマザーボードを選んだので、ケースもMicro-ATX対応のものを選ぶ必要があります。
B550チップセットはAM4ソケットの中でもコスパに優れており、必要な機能が一通り揃っています。SATAが4ポートあるので、HDD2台+将来の増設にも対応できます。
購入価格:¥8,864(Amazon)
Crucial DDR4-3200 8GB × 2枚(合計16GB) を使用しました。

| スペック | 値 |
|---|---|
| 規格 | DDR4-3200(PC4-25600) |
| 容量 | 8GB × 2枚(16GB) |
| ピン数 | 288pin |
ZFSはARC(Adaptive Replacement Cache) というキャッシュ機構を持っており、空きメモリをキャッシュとして積極的に使います。メモリが多いほどファイルアクセスが高速になります。TrueNASの公式推奨は最低8GB、推奨16GB以上です。
ZFSではECCメモリが推奨されることがありますが、今回はnon-ECCを選びました。ECCメモリはメモリのビットエラーを検出・訂正できますが、対応するCPU・マザーボードが限定され、コストも上がります。個人用途のNASであればnon-ECCでも十分実用的です。
今回のメモリは2021年に別用途で購入したものを流用しています。
購入価格:¥6,915(2021年購入時の価格。直近の相場は¥20,500前後)(Amazon)
WD Red Plus 1TB(WD10EFRX)× 2台 を選びました。今回は整備済み品(リファービッシュ)を購入してコストを抑えています。

| スペック | 値 |
|---|---|
| 型番 | WD10EFRX |
| 容量 | 1TB |
| 回転速度 | 5,400rpm |
| キャッシュ | 64MB |
| インターフェース | SATA 6Gb/s |
| 記録方式 | CMR |
| 台数 | 2台 |
NAS向けHDDは24時間365日の連続稼働に耐えられるよう設計されています。主要なシリーズは以下の3つです。
| シリーズ | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| WD Red Plus | Western Digital | CMR記録、NAS向けの定番 |
| IronWolf | Seagate | 回転振動センサー搭載 |
| MN Series | 東芝 | コスパに優れる |
HDDの記録方式にはCMR(Conventional Magnetic Recording) とSMR(Shingled Magnetic Recording) の2種類があります。
NAS用途ではCMRを選ぶのが安全です。WD Red Plusは全モデルCMRなので安心です。
今回はHDD2台でZFSミラー構成としました。ミラーは2台のHDDに同じデータを書き込むため、1台が故障してもデータが失われません。
まずは小さく始めて、容量が足りなくなったらHDDを交換・追加する方針です。
購入価格:¥9,700 × 2台 = ¥19,400(Amazon)
Silicon Power P34A60 128GBを選びました。

| スペック | 値 |
|---|---|
| 型番 | SP128GBP34A60M28 |
| 容量 | 128GB |
| フォームファクタ | M.2 2280 |
| インターフェース | PCIe 3.0 x4 |
| プロトコル | NVMe 1.3 |
SSDの用途はTrueNASのブートドライブです。OSの起動やシステムファイルの読み書きに使います。
NVMe SSDを選んだ理由は、マザーボードのM.2スロットを活用することでSATAポートをHDD用に温存できるからです。ブート用途なら128GBで十分です。
SSD分離(アプリデータとNASデータの物理的な分離)の詳細は第7回で解説予定です。
購入価格:¥5,200(Amazon)
Okinos Cypress 3 Woodを選びました。

NAS向けケースの条件は以下です。
Okinos Cypress 3 Woodを選んだ理由は以下の3つです。
注意:マザーボードとの対応を必ず確認しよう
ケースには対応するマザーボードのフォームファクタが決まっています。今回はMicro-ATXのマザーボードを使うため、Micro-ATX対応のケースを選ぶ必要があります。NAS向けケースにはMini-ITX専用のものも多いので、購入前に必ず確認しましょう。
購入価格:¥5,535(Amazon)
玄人志向 KRPW-BR550W/85+ を選びました。

| スペック | 値 |
|---|---|
| 定格出力 | 550W |
| 認証 | 80PLUS Bronze |
| 規格 | ATX |
各パーツの消費電力を合算すると、最大でも150W程度です。
| パーツ | 消費電力(目安) |
|---|---|
| CPU(Ryzen 3 3200G) | 65W |
| マザーボード | 30W |
| メモリ(16GB) | 6W |
| HDD × 2 | 12W |
| SSD | 3W |
| ファン | 5W |
| 合計 | 約120W |
550Wは構成に対してかなり余裕がありますが、80PLUS認証は負荷率50%前後で最も効率が良くなります。また将来的にHDDやNICを追加しても問題ありません。
80PLUS Bronze認証は、負荷率20〜100%の範囲で82〜85%の変換効率を保証します。変換効率が高いほど熱として無駄になる電力が少なく、24時間稼働するNASでは電気代に直結します。電気代の詳細は第11回で解説予定です。
購入価格:¥7,980(Amazon)
今回は追加でNICやケーブルは購入していません。
ネットワーク性能の実測は第9回で詳しく検証します。
全パーツの費用をまとめます。
| パーツ | 型番 | 数量 | 単価 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 3 3200G | 1 | ¥13,180 | ¥13,180 |
| マザーボード | GIGABYTE B550M K | 1 | ¥8,864 | ¥8,864 |
| メモリ | Crucial DDR4-3200 8GB×2 | 1セット | ¥6,915 | ¥6,915 |
| HDD | WD Red Plus 1TB(整備済み品) | 2 | ¥9,700 | ¥19,400 |
| SSD | Silicon Power P34A60 128GB | 1 | ¥5,200 | ¥5,200 |
| ケース | Okinos Cypress 3 Wood | 1 | ¥5,535 | ¥5,535 |
| 電源 | 玄人志向 KRPW-BR550W/85+ | 1 | ¥7,980 | ¥7,980 |
| 合計 | ¥67,074 |
※メモリは2021年に購入したものを流用(当時¥6,915)。直近の相場では¥20,500前後のため、今から全て新規購入する場合は約¥80,000程度になります。
2ベイNASの定番であるSynology DS224+は本体価格が約¥45,000ですが、CPUはIntel Celeron J4125(4コア / 2.0GHz)、メモリは2GBとスペックは控えめです。Immichのような重めのアプリケーションを快適に動かすにはメモリ増設やより上位モデルが必要になります。
自作NASなら約¥67,000で、Ryzen 3 3200G+16GBメモリという余裕のあるスペックを実現できました。パーツ交換や増設も自由に行えるので、長期的に見てもコスパの良い選択だと考えています。
今回はNAS自作に必要な全パーツの選定理由と費用をまとめました。合計約7万円で、Immichも快適に動かせるスペックのNASが組めます。
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次回は組み立て編で、実際にパーツを取り付けていく作業を解説していきます。お楽しみに!
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