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【NAS自作】第2回:パーツ選定 ー 約7万円で組むNAS構成

2026-03-1510分で読める

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目次

前提:ハードウェア要件

CPU

候補比較

マザーボード

フォームファクタ(サイズ規格)

メモリ

ZFSとメモリの関係

ECC vs non-ECC

HDD

NAS向けHDDの選び方

CMR vs SMR

RAID構成と実効容量

SSD

PCケース

選定理由

電源ユニット

必要ワット数の見積もり

80PLUS認証と電気代

その他(ケーブル等)

費用まとめ

市販NASとの価格比較

最後に

前回(導入編)ではNAS自作シリーズの全体像をお伝えしました。今回は実際に購入した各パーツの選定理由と費用について詳しく解説していきます。この記事を読めば、NAS自作に必要なパーツと選び方のポイントがわかります。

前提:ハードウェア要件

使用するソフトウェアから逆算して、ハードウェアに求められる要件を整理しました。

これらを踏まえて、今回はコスパ重視でパーツを選定しました。極端に省電力なCPUだとImmichの処理が遅くなるため、ある程度のCPU性能は確保しつつ、全体の費用を抑える方向で進めています。

CPU

AMD Ryzen 3 3200Gを選びました。

CPU

スペック
コア / スレッド4コア / 4スレッド
ベースクロック3.6GHz
ブーストクロック4.0GHz
TDP65W
内蔵GPURadeon Vega 8
ソケットAM4

NAS用CPUを選ぶ際のポイントは以下の3つです。

候補比較

CPUコア / スレッドTDP内蔵GPU価格帯
AMD Ryzen 3 3200G4C / 4T65W¥13,000前後
Intel N1004C / 4T6W¥15,000前後(マザボ一体型)
AMD Ryzen 5 5600G6C / 12T65W¥20,000前後

Intel N100はTDP 6Wと超省電力ですが、マザーボード一体型が多くSATAポート数が少ない傾向があります。またCPU性能が控えめなのでImmichの処理速度が気になるところです。Ryzen 5 5600Gは性能十分ですが、NAS用途にはややオーバースペックで予算も上がります。バランスの良いRyzen 3 3200Gを選びました。

購入価格:¥13,180Amazon

マザーボード

GIGABYTE B550M Kを選びました。

マザーボード

スペック
フォームファクタMicro-ATX
チップセットAMD B550
ソケットAM4
SATAポート4ポート
M.2スロット1スロット(PCIe 3.0 x4)
LANRealtek GbE
メモリスロット2スロット(DDR4、最大64GB)

マザーボード選定のポイントは以下です。

フォームファクタ(サイズ規格)

マザーボードにはサイズの規格があり、ケース選びに直結するので先に知っておくべき知識です。

フォームファクタサイズ特徴
ATX305 × 244mm最も一般的。拡張スロットが多く拡張性が高い
Micro-ATX244 × 244mmATXよりコンパクト。NASや省スペースPCに人気
Mini-ITX170 × 170mm最小サイズ。拡張性は限定的だが超小型PCに最適

ケースは対応するフォームファクタが決まっているため、マザーボードとケースの組み合わせを必ず確認しましょう。今回はMicro-ATXのマザーボードを選んだので、ケースもMicro-ATX対応のものを選ぶ必要があります。

B550チップセットはAM4ソケットの中でもコスパに優れており、必要な機能が一通り揃っています。SATAが4ポートあるので、HDD2台+将来の増設にも対応できます。

購入価格:¥8,864Amazon

メモリ

Crucial DDR4-3200 8GB × 2枚(合計16GB) を使用しました。

メモリ

スペック
規格DDR4-3200(PC4-25600)
容量8GB × 2枚(16GB)
ピン数288pin

ZFSとメモリの関係

ZFSはARC(Adaptive Replacement Cache) というキャッシュ機構を持っており、空きメモリをキャッシュとして積極的に使います。メモリが多いほどファイルアクセスが高速になります。TrueNASの公式推奨は最低8GB、推奨16GB以上です。

ECC vs non-ECC

ZFSではECCメモリが推奨されることがありますが、今回はnon-ECCを選びました。ECCメモリはメモリのビットエラーを検出・訂正できますが、対応するCPU・マザーボードが限定され、コストも上がります。個人用途のNASであればnon-ECCでも十分実用的です。

今回のメモリは2021年に別用途で購入したものを流用しています。

購入価格:¥6,915(2021年購入時の価格。直近の相場は¥20,500前後)(Amazon

HDD

WD Red Plus 1TB(WD10EFRX)× 2台 を選びました。今回は整備済み品(リファービッシュ)を購入してコストを抑えています。

HDD

スペック
型番WD10EFRX
容量1TB
回転速度5,400rpm
キャッシュ64MB
インターフェースSATA 6Gb/s
記録方式CMR
台数2台

NAS向けHDDの選び方

NAS向けHDDは24時間365日の連続稼働に耐えられるよう設計されています。主要なシリーズは以下の3つです。

シリーズメーカー特徴
WD Red PlusWestern DigitalCMR記録、NAS向けの定番
IronWolfSeagate回転振動センサー搭載
MN Series東芝コスパに優れる

CMR vs SMR

HDDの記録方式にはCMR(Conventional Magnetic Recording)SMR(Shingled Magnetic Recording) の2種類があります。

NAS用途ではCMRを選ぶのが安全です。WD Red Plusは全モデルCMRなので安心です。

RAID構成と実効容量

今回はHDD2台でZFSミラー構成としました。ミラーは2台のHDDに同じデータを書き込むため、1台が故障してもデータが失われません。

まずは小さく始めて、容量が足りなくなったらHDDを交換・追加する方針です。

購入価格:¥9,700 × 2台 = ¥19,400Amazon

SSD

Silicon Power P34A60 128GBを選びました。

SSD

スペック
型番SP128GBP34A60M28
容量128GB
フォームファクタM.2 2280
インターフェースPCIe 3.0 x4
プロトコルNVMe 1.3

SSDの用途はTrueNASのブートドライブです。OSの起動やシステムファイルの読み書きに使います。

NVMe SSDを選んだ理由は、マザーボードのM.2スロットを活用することでSATAポートをHDD用に温存できるからです。ブート用途なら128GBで十分です。

SSD分離(アプリデータとNASデータの物理的な分離)の詳細は第7回で解説予定です。

購入価格:¥5,200Amazon

PCケース

Okinos Cypress 3 Woodを選びました。

PCケース

NAS向けケースの条件は以下です。

選定理由

Okinos Cypress 3 Woodを選んだ理由は以下の3つです。

注意:マザーボードとの対応を必ず確認しよう

ケースには対応するマザーボードのフォームファクタが決まっています。今回はMicro-ATXのマザーボードを使うため、Micro-ATX対応のケースを選ぶ必要があります。NAS向けケースにはMini-ITX専用のものも多いので、購入前に必ず確認しましょう。

購入価格:¥5,535Amazon

電源ユニット

玄人志向 KRPW-BR550W/85+ を選びました。

電源ユニット

スペック
定格出力550W
認証80PLUS Bronze
規格ATX

必要ワット数の見積もり

各パーツの消費電力を合算すると、最大でも150W程度です。

パーツ消費電力(目安)
CPU(Ryzen 3 3200G)65W
マザーボード30W
メモリ(16GB)6W
HDD × 212W
SSD3W
ファン5W
合計約120W

550Wは構成に対してかなり余裕がありますが、80PLUS認証は負荷率50%前後で最も効率が良くなります。また将来的にHDDやNICを追加しても問題ありません。

80PLUS認証と電気代

80PLUS Bronze認証は、負荷率20〜100%の範囲で82〜85%の変換効率を保証します。変換効率が高いほど熱として無駄になる電力が少なく、24時間稼働するNASでは電気代に直結します。電気代の詳細は第11回で解説予定です。

購入価格:¥7,980Amazon

その他(ケーブル等)

今回は追加でNICやケーブルは購入していません。

ネットワーク性能の実測は第9回で詳しく検証します。

費用まとめ

全パーツの費用をまとめます。

パーツ型番数量単価小計
CPUAMD Ryzen 3 3200G1¥13,180¥13,180
マザーボードGIGABYTE B550M K1¥8,864¥8,864
メモリCrucial DDR4-3200 8GB×21セット¥6,915¥6,915
HDDWD Red Plus 1TB(整備済み品)2¥9,700¥19,400
SSDSilicon Power P34A60 128GB1¥5,200¥5,200
ケースOkinos Cypress 3 Wood1¥5,535¥5,535
電源玄人志向 KRPW-BR550W/85+1¥7,980¥7,980
合計¥67,074

※メモリは2021年に購入したものを流用(当時¥6,915)。直近の相場では¥20,500前後のため、今から全て新規購入する場合は約¥80,000程度になります。

市販NASとの価格比較

2ベイNASの定番であるSynology DS224+は本体価格が約¥45,000ですが、CPUはIntel Celeron J4125(4コア / 2.0GHz)、メモリは2GBとスペックは控えめです。Immichのような重めのアプリケーションを快適に動かすにはメモリ増設やより上位モデルが必要になります。

自作NASなら約¥67,000で、Ryzen 3 3200G+16GBメモリという余裕のあるスペックを実現できました。パーツ交換や増設も自由に行えるので、長期的に見てもコスパの良い選択だと考えています。

最後に

今回はNAS自作に必要な全パーツの選定理由と費用をまとめました。合計約7万円で、Immichも快適に動かせるスペックのNASが組めます。

パーツ全体

次回は組み立て編で、実際にパーツを取り付けていく作業を解説していきます。お楽しみに!


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